私も若い頃は硬い歯ブラシを使っていた時もありました。まだ歯周病に対してどういう
治療法が良いかはっきりしていない時代だったからです。
確かに硬い歯ブラシを使った方が良く汚れが取れる感じがします。しかし口の中を
磨く時、歯だけを磨くことは不可能です。必ず歯のまわりの歯肉も磨くことになります。
歯と違って歯肉はやわらかいので硬い歯ブラシを使うと傷つきやすいのです。歯肉が
傷つくと歯肉は下がります。歯肉が下がると歯の下の方にあるセメント質が見えてきます。
歯の表面はふつうエナメル質という硬い組織で成り立っています。エナメル質は歯ブラシで
こすったぐらいでは容易に削れたりしません。ところが歯のくびれた所から下にあるセメント質は
やわらかいので硬い歯ブラシでこすると歯の表面が削れてしまうのです。
セメント質が削れると知覚過敏になりやすくなります。冷たいものがしみるようになったり、
時には息を吸うだけで歯がしみることがあります。
ふつうの硬さの歯ブラシをふつうの圧力で使っても十分汚れは取れます。
埼玉県 伊奈町 服部歯科医院